裁量労働制におもうこと

IT業界、裁量労働制で検索すれば多くの記事がヒットします。
中にはシステム開発業だからという理由で裁量労働制を導入できると現役の社労士が答えているような記事もお目にかかることができます。
責任あるプロ意識を持つ技術者にとって裁量労働制はメリットが多いのは事実です。

しかし、ある程度の規模のシステム開発では、元請のプロジェクトマネージャーが存在し、下請けや孫請けで参画する技術者はプロジェクトマネージャーやリーダー、サブリーダーからスケジュール管理されているのが実態ですし、始業時間の定義がないプロジェクトは皆無です。
会社が裁量労働制を導入しても、そのようなプロジェクトに参画した技術者にそのまま裁量労働制を適用することは明白な違法行為です。
コンプライアンスが重視されている時代にそのような違法行為を行うことは避けねばなりません。

また、勤務表と呼ばれるものを記入していますから労働時間の算定ができます。
むしろ、労働時間の算定は工数管理の名目で間違いなく行われています。
したがって、事業場外みなし労働時間制の適用もできません。

このように考えていくと、下請けや孫請けで技術者をプロジェクトに参画させているIT企業は、裁量労働制はおろか、事業場外みなし労働時間制さえも適用することができないはずです。
しかし、残念なことに実態として裁量労働制だから残業しても残業代が出ないという技術者は数多くいます。

裁量労働制や事業場外みなし労働時間制の違法な適用はすぐにでもやめていただきたい。
また、技術者においても裁量労働制の求めている裁量とは何かをきちんと考えてもらいたい。
裁量労働制の裁量は自由ではないのです。
裁量を任されるということはそれだけ責任もあることを自覚する必要があります。

アイデアはプロジェクトルームだけでひらめくものではなく、IT技術はアイデアによって発展していくものですから、IT業界にこそ裁量労働制は必要です。
そして、その裁量労働制は残業代抑止制度であってはならないのです。